FC2ブログ

    2011

01.26

太陽が沈む時、切なく甘い雫が月から堕ちる(010)

「目の前になどちらつかせてない。おまえが勝手にここへきただけだ」
 颯太は閃の言葉に納得し、無意識に深く頷いてしまった。
 焔にギロッと睨まれ、慌てて目を逸らす。
 すると、焔はいきなり颯太に近づいてきた。
 ビックリして焔の顔を見上げると、そこには【飢えた弟】ならぬ【飢えた子犬】がいた。
「兄貴が血も涙もないんだ。でも、颯太は違うよな」
 颯太はあきれて、
「解ったよ。オレの分を少し分けてやるから」と答えてしまった。
「颯太は焔を甘やかしすぎだ」
 すかさず閃に指摘される。
 そうなのかもしれないが、どんなに調子のいい男でも、焔は閃に弟だから無下にすることはできないのだ。

◆◇◆

 結局、すき焼きの割り下はいつもと変わらず閃が作り、颯太と焔はリビングルームでテレビを観ながらビールを飲んで、テーブルの上にすき焼き鍋が到着するのを待つことになった。
 せめて閃を手伝いたかったが、焔がこれまた我が儘を言い出し、どうしても飲むのをつき合えと言ってきたので、仕方なくつき合うことになった。
 閃は焔を追い返そうとしたのに、それを庇ったのは颯太だった為、そこまでは面倒みきれんという風情で、閃は助け船を出してはくれなかったのである。

◆2011年1月27日更新分へ続く


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



リーマン物
トラックバック(-)  コメント(-)