FC2ブログ

    2011

02.03

太陽が沈む時、切なく甘い雫が月から堕ちる(015)

 焔が慌てて中へ入ろうとする前に、閃は素早くドアを閉め施錠する。
「兄貴! おい、開けろよ! 開けてくれ!!」
 閉め出された焔は、近所迷惑など考えずにマンションの廊下で大きな声を上げ、ドアを激しく叩き続けている。
 弟とはいえ、閃は焔に部屋の合いカギを渡していないのだ。
 ―――むろん、颯太には渡しているのだが。
「……閃、焔は何か大事な相談があってきたんだから、話をきいてやれよ。オレは帰るからさ」
 そう諭しながら、颯太は閃に近づく。
 すると閃は、振り向きざまに颯太を抱き締めた。
「閃……!?」
 突然のことにビックリしたが、颯太は慌てたりはしなかった。
 閃がなんの脈絡もなくいきなりハグしてくることは、特別なことではないからである。
 嬉しいことなどがあり気持ちが昂ぶった時、または酷く疲れている時、そして、滅多にないがしたたか酔っている時などに、閃は颯太を逞しい腕の中に抱く。
「……閃、焔が可哀相だろう。今は焔を部屋の中に入れてやれよ」
「黙れ。少し黙ってくれないか。……焔なんかじゃなく、今は俺の頼みを聞いてくれ」

◆2011年2月7日更新分へ続く


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



リーマン物
トラックバック(-)  コメント(-)