FC2ブログ

    2011

02.09

太陽が沈む時、切なく甘い雫が月から堕ちる(018)

 抑揚のない声で謝ると、閃は何を思ったのか、自ら掛けた鍵に手を伸ばして開けようとした。
 颯太はビックリしてその手を押さえる。
「どうして!?」
 咄嗟に訊ねてしまってから、颯太は息を呑む。
(何が? ……誰に対して、……『どうして!?』―――なんだろう?)
 ドアの鍵を開けろと、閃の実弟・焔が外で騒いでいる。
 だから、閃は鍵を開けようとしたというのに、それを制し、「どうして!?」と問う気だった自分に問いたい。と、颯太は思った。
 どうして? だと。
 その思いは閃も同じだったようで、驚きを隠せない表情で颯太を見つめている。
「……颯太?」
「あ、ご、ごめんッ ……焔が待ってるんだから、早く鍵を開けやって!」
「いや、止めた」
 やる気のない言葉が返ってきて、颯太は慌てた。
「えー!? なんで!?」
「せっかく追い出したのに、振り出しに戻しては意味がない」
「わぁーッ オレが間違って止めたからかよ!? 焔、ごめん! 今、開けるから!!」
 閃に代わって颯太が鍵に手を伸ばしたが、今度はその手を閃に掴まれ遮られる。

◆2011年2月10日更新分へ続く


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



リーマン物
トラックバック(-)  コメント(-)