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    2011

01.13

太陽が沈む時、切なく甘い雫が月から堕ちる(003)

 だが、小さな苛立ちから、颯太は言わなくていい嫌味を言ってしまう。
「昼休みは忙しそうにしてたけど、本当は閃の会社って暇なんじゃないのか? まだ7時過ぎなのに、車を取りに帰った上に買い物まで済ませてさ」
 言いながらそれは違うことは解っている。
 閃の能力が高いことは、付き合いが長いのでよく知っている。
 そして、
「あはは、確かにうちの会社は暇だ。いまどき、暇な会社に就職できて運がよかった」
 と、軽く受け流されてしまうことも、颯太は知っている。

◆◇◆

 助手席の窓から、颯太がぼんやりと夜の都心の風景を眺めていると、あっという間に2人の自宅マンションに到着した。
閃はエントランスの前で車を停めると、買い物袋を持って先に部屋へ行くよう颯太に促す。
「閃、おまえ、なんとしてもオレに直接、おまえの部屋へ行かせるつもりだな?」
 そう食ってかかると、閃はフッと笑った。
「どうしてそんなに拘る?」
「拘ってない。拘っているのは閃の方だろ!?」
「解った解った。この狭い道にいつまでも大きな車を停車させていると近所に迷惑だから、とにかく先に降りてくれないか」
「あ、……うん、ごめん」

◆2011年1月17日更新分へ続く


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